浮力の効果
気球や飛行船などの軽飛行機は浮力を利用して浮揚する. 飛行機など重飛行機にも浮力が働く. 浮力はアルキメデスの原理によるものであって, その大きさは物体の排除した流体の重量に等しい.
気体の場合は揚力に比べ効果は非常に小さいので一般に無視してよい. また, 飛行機の場合は機体内に外気と等しいか, あるいはそれより密度の大きい空気が入っているので, 浮力は実質的な浮揚力とはならない. 軽航空機のようにガス袋の中に空気より密度の小さい気体を入れてはじめて有効な浮揚力が得られるのである.
前節で述べたように浮力は「流体に作用する重力」に, 揚力は「流体の運動」にというように, 両者は全く異なる原因で生ずるのであるが, 物体に働く力としてはいずれも圧力という形で作用する.
しかし, ベルヌーイの定理からもわかるように流体の運動に起因する圧力と重力に起因する圧力とは加算的なので, 浮力と揚力とを切り離して取り扱うことができる. たとえば, 飛行船の揚力を考える場合, 重力を無視して取り扱えばよい.
以下, 一様な流れの中に置かれた物体に働く揚力と浮力の関係を数式の上でみてみよう. 図のように一様な流れの方向に$x$軸, 重力の方向に$z$軸(重力と反対方向を正とする), $x$軸, $z$軸に直角に$y$軸をとる.